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ランナー膝・鵞足炎の原因とセルフケア【膝の痛み特集⑤】

執筆者の写真: SAKAI KOHKI
SAKAI KOHKI
8月9日
読了時間: 5分

これまで4回にわたり、膝の痛みの分類から、O脚・筋力低下、変形性膝関節症、靭帯・半月板損傷まで解説してきました。今回は、ランニングや運動習慣のある方に多い「使いすぎ」タイプの膝の痛み――ランナー膝・鵞足炎の原因とセルフケアについてお伝えします。


🏃 膝の外側が痛む「ランナー膝(腸脛靭帯炎)」


太ももの外側には、骨盤から膝の外側にかけて伸びる腸脛靭帯という組織があります。膝を曲げ伸ばしするたびに、この腸脛靭帯が大腿骨の外側にある骨の出っ張り(大腿骨外側上顆)の上を前後にこすれるように動きます。


ランニングなど膝の屈伸を繰り返す動作が続くと、この摩擦が炎症を引き起こし、走行中や走行後に膝の外側にズキズキとした痛みが生じます。これが「ランナー膝」と呼ばれる腸脛靭帯炎です。初期はランニング後だけ痛み、安静にすると治まりますが、そのまま走り続けると徐々に痛みが強くなり、しまいには少し歩いただけでも痛むようになることがあります。


🏃 膝の内側が痛む「鵞足炎」


一方、膝の内側、すねの骨(脛骨)の上のあたりに痛みが出るのが「鵞足炎(がそくえん)」です。太もも内側から伸びる3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)の腱が、膝の内側下方で鵞鳥の足のような形に集まって骨に付着しており、この部分に負担が繰り返しかかることで炎症が起こります。


膝を曲げる動作や、その部分を押したときに痛みを感じる場合は鵞足炎の可能性があります。


🔍 なぜオーバーユース障害が起こるのか


ランナー膝・鵞足炎はどちらも、単純な練習量の急な増加(オーバーユース)に加えて、いくつかの要因が重なって発症することがほとんどです。


・股関節周りの筋力不足:特に骨盤を安定させる中殿筋の筋力が弱いと、走るたびに骨盤や膝が横にブレやすくなり、腸脛靭帯や鵞足への摩擦・負担が増えます

・柔軟性の低下・ウォームアップ不足:太もも周りの筋肉が硬いまま走り始めると、組織への負担が大きくなります

・下肢のアライメント(O脚など):このシリーズの②でお伝えしたO脚も、腸脛靭帯炎の要因の一つとして挙げられています

・シューズ・路面の影響:クッション性の低下した古いシューズや、下り坂・硬い路面での走行も負担を増やす要因です


つまり、「たくさん走ったから」だけでなく、「走り方や体の使い方に負担がかかりやすい要素が重なっていたから」痛みが出ている、というケースが多いのです。


⚠️ こんな時は無理せず走るのを中断


以下のような状態のときは、痛みを我慢して走り続けず、いったんトレーニングを中止・軽減してください。


・走るたびに同じ場所(膝の外側または内側)が痛む

・安静にしていても痛みが引かなくなってきた

・下り坂や階段の下りで特に痛みが強い

・膝を曲げ伸ばしする際にきしむような痛みがある


無理に走り続けると、炎症が慢性化し、回復までの期間がより長くなってしまいます。


💡 自宅でできるセルフケア


①アイシング

運動後、痛みのある部分を15分程度冷やすことで、炎症の悪化を抑えやすくなります。

青い見出しの運動後アイシング解説図。膝に氷嚢を当てる人、ランナー膝・鷲足炎の図、約15分冷やす注意書き。

②クラムシェル(中殿筋トレーニング)

横向きに寝て両膝を90度くらいに曲げ、かかと同士をつけたまま、上側の膝だけを貝殻が開くようにゆっくり持ち上げて下ろします。骨盤を安定させる中殿筋を鍛えることで、走行中の膝や骨盤のブレを抑えやすくなります。

セルフケア②「クラムシェル」の説明図。横向きで膝を曲げ、上の膝を開いて閉じる動作を3段階で示し、中殿筋を鍛えると案内。

③太もも周りのストレッチ

腸脛靭帯そのものを直接強く伸ばしたり、フォームローラーを強く当てたりするのは炎症を悪化させることがあるため避け、太もも前面・後面など周辺の柔軟性を保つ範囲にとどめましょう。

太もも周りのストレッチ解説図。前面とハムストリングスの伸ばし方、避けたいケア、痛気持ちいい程度でOKと注意書き。

④練習量・シューズの見直し

走行距離や強度を急に上げず段階的に増やすこと、クッション性が保たれたシューズを使うことも、再発予防には欠かせません。

セルフケア④ 練習量・シューズの見直しの説明図。走る男性、段階的に増やすグラフ、青い靴とすり減った靴で、再発予防に大切と強調。

🎯 セルフケアで改善しない場合は


セルフケアや練習量の調整で軽快することも多い一方、痛みを繰り返してしまう場合は、股関節・骨盤・足首まで含めた体全体のバランスに、走行フォームの負担を増やす原因が隠れていることがあります。


当院では、膝の痛みに対して整体を中心とした施術を行っています。腸脛靭帯や鵞足そのものだけでなく、股関節まわりの筋力バランスや骨盤の安定性まで含めて局所の状態を確認し、痛みを早期に和らげたうえで、再びランニングを続けても痛みが出にくい体づくりをサポートしています。


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▼これまでの膝の痛み特集はこちら

②O脚・筋力低下による膝の痛みとセルフケア:https://www.sakaisinkyuseitaiin.com/post/hiza-itami-oashi-kinryoku

③変形性膝関節症の初期症状と早期対応:https://www.sakaisinkyuseitaiin.com/post/hiza-itami-syokishoujou

④靭帯・半月板損傷を放置するリスク:https://www.sakaisinkyuseitaiin.com/post/hiza-itami-jintai-hangetsuban


参考文献

・地域医療機能推進機構(JCHO)東京山手メディカルセンター「腸脛靭帯炎(ランナー膝)」

・鳥居俊(早稲田大学スポーツ科学学術院准教授・整形外科医)「膝蓋腱炎・腸脛靭帯炎・鵞足炎」解説


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